都市計画用語集-公共交通
- 公共交通
- 各公共交通機関の種類
- バス
- 分類
- 路線
- バス停
- BRT(バス・ラピッド・トランジット)
- 鉄道
- 線路
- 軌道
- 軌間(ゲージ)
- 線路の線形
- 路線
- 鉄道路線に関する国の計画
- 路線網のモデル的パターン
- 停車場
- 駅
- 操車場(ヤード)
- 車両基地
- 信号場
- 鉄道貨物
- 海運・水運
- 航路
- 航海ルール
- 航路標識
- 港湾
- 分類
- 港湾施設
- ふ頭(ターミナル)
- 航空
- 空港
- 空港の立地
- 空港の施設
- 滑走路
- 誘導路
- 飛行場灯火・レーダー
- エプロン
- 管制塔・航空管制
- 空港ターミナル
- そのほかの空港の設備
- 新交通システム
- 交通需要マネジメント(TDM)
- 公共交通志向型開発(TOD)
公共交通
公共交通機関とは、不特定多数の人々が利用する交通機関を指す。
各公共交通機関の種類
輸送能力 | 走行空間(線路や専用レーンなどほかの車両が入ってこない専用空間を利用できるかどうか) | ||
完全専用空間走行 | 一部専用空間走行 | 専用空間なし | |
大量(1万人/時以上) | 都市鉄道、地下鉄 | ||
中量(1千~1万人/時) | 新交通システム、モノレール、LRT | LRT、路面電車、バス(バスレーン使用) | バス |
少量(個人)(1千/時以下) | 新交通システム(個人輸送型) | ディマンドバス、タクシー |
バス
バスは鉄道と比較した場合、線路の建設が不要であり、バス停等も簡素で済むため、初期投資の少ない交通機関である。このことから需要の変化に対応し路線の変更も簡単に行うことが出来る。一方で大量輸送が難しく、台数を増やすと渋滞の原因となるなどのデメリットもある。
分類
- 路線バス
- 高速バス
- 夜行バス
- 空港連絡バス
- コミュニティバス
- ディマンドバス
- 観光バス
- 通学バス
路線
路線は需要予測に基づき、需要のある区間をなるべく短時間で結ぶように設定する。
住宅地から都市中心部までは往復型、都市中心部内は循環型とする複合型にするケースが多くみられる。
バス停
バス停の利用圏は一般的にバス停から 300m 圏域とされる。
- 法令上設置できない箇所(道路交通法第44条)
- 交差点周辺:交差点の側端から5m以内の部分
- 道路の曲がり角周辺:道路の曲がり角から5m以内の部分
- 横断歩道周辺:横断歩道の前後の側端からそれぞれ5m以内の部分
- 安全地帯周辺:安全地帯が設けられている道路の安全地帯の前後10m
- 踏切周辺:踏切の前後の側端からそれぞれ10m以内の部分
- トンネル、坂の頂上付近、軌道敷内
BRT(バス・ラピッド・トランジット)
バスを基盤とした大量輸送システム。専用道路にバスを走らせることによって鉄道に近い定時性を持ちつつ、車両単価の低いバスを使用することでコストを下げることが出来る。一方であくまでバスであるため、鉄道と比較すると速度・輸送量は小さく、専用道路を使わない場合渋滞に巻き込まれる可能性がある。
バス専用道路 | バス専用の道路。鉄道の廃線跡を転用するケースもある。 |
バスレーン | 通常の道路にバス専用レーンをつけたもの。基本的にはバスが優先して使用するものだが、一般の車両がレーンに入ってきてしまいバス運行の支障となっているケースもある。 |
社外運賃徴収 | BRT発祥のブラジル・クリチバ市ではチューブ状のバス停が設置されており、料金はバスの中ではなくバス停で支払う(鉄道駅と同じ)。バス内での支払いによる遅延を防止できる。 |
大容量車両 | 連接バスなど大容量のバスを走らせることで、輸送量の少ないバスのデメリットを改善する。 |
参考:ブラジル・クリティーバの統合輸送ネットワーク
wikipedia バス・ラピッド・トランジット
鉄道
鉄道はほかの陸上の公共交通軌間と比較した場合、大量輸送に向き定時性・安全性に優れているという特徴がある。また鋼で出来た車輪とレールとの摩擦係数が非常に小さいため、小さい力で重い車体を動かすことが出来る省エネルギーな交通手段である。
一方で建設と維持に莫大なコストが必要であること、レールの上しか走行できないため、わずかな障害によって広範囲で正常運転ができなくなることが多いことなどのデメリットがある。
線路
鉄道が走行するための通路であり、レール・枕木・道床などが含まれる軌道、盛り土や切り取りなどを施して道床を支える路盤、橋梁などの構造物を含めたものを指す。
軌道
線路を構成する構造物の総称。
- レール(軌条):鉄道車両の走行を誘導する。
- 枕木:レールの間隔を一定に保つ。
- 道床:レールおよび枕木を支え、走行する車両の重量を路盤に伝える。
また構造によりいくつかの種類に分類される。
- バラスト軌道 - 砕石や砂利を一定の厚さに敷き詰めた構造の軌道。
- 直結軌道 - 路盤コンクリートに枕木を埋め込んだ軌道。コンクリート道床ともいう。
- スラブ軌道 - 道床にコンクリートの平板を用いた構造の軌道。
軌間(ゲージ)
鉄道の線路を構成する左右のレールの間隔のこと。世界では標準軌が一般的だが、日本の在来線では1067mmの狭軌が最も多く使われている。
線路の線形
線形設計の基本は道路と同じだが、鉄道の場合、鋼で出来た車輪とレールとの摩擦係数が非常に小さいため急加速・急減速が困難である。
摩擦係数が小さいことは少しの力で重い車両を動かせる一方で、滑りやすく停車するまでの距離が長く、急勾配に弱いという弱点がある。
また曲線では遠心力が働くが、遠心力による横からの力に対して鉄道は自動車より弱いため、緩やかな曲線とカントが必要になる。
- 曲線半径
設計最高速度 | 最少曲線半径 |
70km/h以下の速度 | 300m |
70km/hを超え90km/h以下の速度 | 400m |
90km/hを超え110km/h以下の速度 | 600m |
110km/hを超える速度 | 800m |
- 勾配
設計けん引重量 | 1,200t以上 | 1,000t~1,200t | 500t~1,000t | 500t未満 |
本線路 | 15‰ | 20‰ | 25‰ | 35‰ |
電車専用の本線路 | 35‰ | |||
本線路停車場 | 分岐器および列車の停止区域 5‰ | |||
側線停車場 | 車両の留置または解結する区域 5‰ |
※‰(パーミル)は1000分の1。5‰の場合、1000mの区間に対し高さ5mまでの勾配が許容される。
路線
バスと異なり、設置費用・維持費用が多くかかる鉄道は設置する路線の数をどうしても絞らざるを得ない。このため需要予測、技術的問題、経済性、災害対策、社会的合意など様々な要素を考慮しどこに路線を設置するか検討する必要がある。
鉄道路線に関する国の計画
鉄道敷設法 | 旧法は明治25年制定大正11年廃止、新法は大正11年制定昭和62年廃止。日本の鉄道の父・井上勝により立案され、国が建設すべき鉄道路線として主に幹線級の路線(現在のJRで○○本線とつく路線など)、後には地方路線を指定し、この法律を根拠に旧国鉄の主な路線が建設された。 |
全国新幹線鉄道整備法 | 昭和45年制定。東海道新幹線の成功を受け、新幹線の建設・整備を全国に広げるために制定され、この基本計画に基づき新幹線が建設されている。 |
交通政策審議会答申 | 国土交通省内に設置された審議会等のひとつである交通政策審議会が、交通政策の重要事項を調査・議論し、答申を出すもの。東京圏・大阪圏・名古屋圏の基本計画などがおおむね15年ごとに出され、これを根拠に地下鉄路線などが建設されている。 |
路線網のモデル的パターン
一点集中型 | ![]() |
放射状の各路線が都心の一点に集中する。需要の過度な集中を招く恐れがある。 |
中心地区環状線型 | ![]() |
都心に小さな環状線を作りこれに放射線を集中させる。 |
ペターゼン型 | ![]() |
中心地区は碁盤、外側は放射線とした形。 |
カウエル型 | ![]() |
一つの路線がどの路線とも必ず1回交差することで乗換を少なくした形。 |
シンプ型 | ![]() |
カウエル型の改良形。 |
ターナー型 | ![]() |
半円形に発達した都市に最適な形。 |
停車場
鉄道において列車が停車できる施設。駅・信号場・操車場などの総称。
駅
列車への旅客の乗降、貨物の積降に使用する場所。旅客駅でも貨物駅でも需要の大きいところに設置されるのが基本だが、既成市街地には土地入手できないため市街地外縁部に建設されるケースも多い。逆にニュータウンなどの土地開発と鉄道とを一体とする目的で、土地開発のうえで最も良い土地に設置されるケースもある(田園調布、常盤台など)。
- 取扱上の分類
- 旅客駅:旅客が乗降する駅。特に大規模なターミナル駅などはバスなど他交通機関との結節点になるとともに、都市の顔としてランドマークになり得るデザインが求められるケースが多い。
- 貨物駅:貨物を積み降ろしする駅。高速道路などの幹線道路、コンテナふ頭との接続を重視し都市の外縁部に設置されるケースが多い(東京貨物ターミナル駅など)。
- 構造上の分類
- 地上駅
- 高架駅
- 地下駅
- 路線上位置による分類
- 終端駅:路線の終端にある駅。欧州やアメリカの大都市では、鉄道建設の歴史から旧市街の外側に方面別路線の始発・終着駅として大規模終端駅が見られ、立派な駅舎を持ち都市の玄関口となっている(パリ北駅、ローマのテルミニ駅、ワシントンDCのユニオン駅など)。
- 中間駅
- 分岐駅
- 接続駅
- 連絡駅
- プラットホームの配置による分類
- 単式ホーム
- 相対式ホーム
- 島式ホーム
- 切欠きホーム
- 櫛形ホーム
操車場(ヤード)
貨物列車などの組成・入換などをおこなう場所。貨物列車が操車場に着くと、貨車は車両ごとに切り離されて、多数の分岐器を経て行先別に分類された仕分線に送られる。
日本ではかつては鉄道貨物は陸上輸送のなかで大きな位置を占めていたため操車場も多く設置されていたが、鉄道輸送からトラック輸送へシフトしていったことなどにより多くの操車場が廃止・縮小されていった。
車両基地
鉄道車両の滞泊、整備や列車の組成等を行う施設。法令上は操車場と車庫の両方を兼ねたもの。
信号場
列車の行き違い又は待ち合わせを行うため、停車場として構内には分岐器(ポイント)・待避線・信号設備などが設けられているが、原則として旅客の乗降はしない停車場。隣駅に近すぎること、利用客が見込めないことなどから駅ではなく信号場として設置されるが、後に駅に昇格する場合や、逆に駅が信号場に降格する場合もある。
鉄道貨物
陸上において大量輸送を可能とする鉄道は、日本ではかつて貨物輸送の主流だった。しかし、トラックから貨車に荷を積み替える手間がかかることや、目的地までの到達時間の長さや到着時刻の不確定さなどの欠点があった。一方で高速道路網や国道の整備によってトラックによる輸送時間が短縮され、貨物輸送は次第にトラック輸送などに移っていった。
一方、欧米・中国・ロシアなどでは現在においても最も安くて効率的な貨物の陸上輸送手段として物流の主役である。
ヤード中継方式 | 貨物列車が操車場(ヤード)に着くと、貨車は車両ごとに切り離されて、多数の分岐器を経て行先別に分類された仕分線に送られる方式。操車場(ヤード)は平面ヤード・ハンプヤード・重力ヤードなどに分類される。かつて貨車(車扱貨物)による輸送が主だったころ多く利用されていたが、コンテナ輸送が主となった現在では日本では行われていない。 |
コンテナ輸送 | 操車場で貨車を組み替えるのではなく、貨車に乗っているコンテナだけを入れ替えることで、操車場での複雑な作業が不要になり短時間での分類が可能になる。コンテナを利用することで他の輸送機関への積み替えも簡単で、現在の日本では鉄道貨物輸送の主流を占めている。 |
着発線荷役方式(E&S方式) | 電車の架線に接触する恐れのある本線上ではフォークリフトなどでの荷役(コンテナ等の積み込みや荷下ろし)ができないため、本線に到着した貨車をディーゼル車などでいったん架線のない荷役線まで移動させて作業を行う必要があり時間がかかってしまう。そこで本線上の架線への送電を停止できるようにし、架線を傷つけない E&S 方式対応のフォークリフトやトップリフターにより荷役を行う方式。国内でも徐々に増えてきている。 |
海運・水運
海運・水運は、重量・距離当りのコストが他の運輸手段に比べて格段に安く、大量・長距離の輸送に適している。また、重量物や嵩のある貨物もあまり制限を受けずに輸送ができる。
一方で航空機や鉄道、貨物トラックに比べ速度は遅く、整備された港以外に貨物の積み下ろしが行なえないなどのデメリットもある。
航路
航路とは、一般に定期航路など、定期的に船の通過する海や川の中に決められた道のような場所のことを言う。航路は一般に水深の深い場所に設定するが、港湾施設のように陸の周辺部では常に深い場所が存在するとは限らないため、必要に応じて。浚渫(しゅんせつ、港湾などの底面をさらって土砂などを取り去る作業)などを行う。
航海ルール
海上では原則として右側通航が国際ルールとなっている。このため船同士が行きかう場合は、互いに右方向に避けなければならない。また夜でも相手の船がどの方向をむいているか分かるよう、船の右舷に緑色、左舷に赤色、中心線上の白色の航海灯をつけることが義務付けられている。
航路標識
- 光波標識
- 灯台
- 灯標
- 灯浮標
- 電波標識
- 音波標識
港湾
地形と人口の建造物により、船が安全に停泊でき、波風の影響を受けずに人の乗り降りや荷役が可能な場所。
分類
- 法律上の分類
区分 | 概要 | 例 |
国際戦略港湾 | 重要港湾の中でも東アジアのハブ化目標とする港湾 | 東京港・横浜港・川崎港・大阪港・神戸港の5か所 |
国際拠点港湾 | 重要港湾の中でも国際海上輸送網の拠点として特に重要な港湾 | 千葉港・名古屋港・広島港・博多港など全国18港 |
重点港湾 | 重要港湾のうち国が重点して整備・維持する港湾 | 全国に103港ある重要港湾から43港を選定 |
重要港湾 | 国際海上輸送網または国内海上輸送網の拠点となる港湾で今後も国が整備を行う港湾 |
- 立地による分類
種類 | 内容 | 例 |
海港・沿岸港 | 海洋に面した港湾 | 多数 |
河口港 | 河口に位置する港湾 | ルアーブル港、酒田港、新潟港 |
河川港・河港 | 河川に面した港湾 | ロッテルダム港、ロンドン港、上海港、ハンブルク港 |
湖港 | 湖に面した港湾 | シカゴ港、ジュネーヴ港 |
港湾施設
区分 | 施設の例 |
水域施設 | 航路、泊地など |
外郭施設 | 防波堤、防潮堤、防砂堤、導流堤、堤防など |
係留施設 | 岸壁、物揚場、係船浮標、桟橋、浮桟橋など |
臨港交通施設 | 臨港道路、臨港鉄道、運河など |
荷さばき施設 | ガントリークレーン、アンローダー、荷役機械、上屋など |
旅客施設 | 旅客乗降用施設、旅客ターミナルなど |
保管施設 | 倉庫、野積場、貯木場、コンテナターミナル(コンテナヤード)など |
船舶役務用施設 | 給水施設、給油施設など |
航行援助施設 | 灯台、灯浮標 |
ふ頭(ターミナル)
船舶の乗客を乗降させたり、貨物の荷役が行われる場所。通常、港は複数のふ頭から構成される。東京港の場合、大井・品川・竹芝・月島・晴海・豊洲・青海・有明ふ頭などから成る。
- 専用ターミナル
コンテナ、原油、鉱石、木材、穀物、自動車など特定の貨物の取扱いに特化したターミナル
- コンテナターミナル
コンテナ船が接岸してコンテナを積み卸しする専用の岸壁を備え、これらのコンテナを運搬・保管する固定施設(エプロン、コンテナヤードなど)、および荷役用可動施設(ガントリークレーン、トランスファークレーン、ストラドルキャリアなど)で構成される。
- 旅客船ターミナル
フェリー、高速船、クルーズ船、レストラン船、遊覧船などが発着するターミナル。多くの港は都市中心部から離れているため、バスターミナルやタクシー乗り場など都心部への交通手段を併設する。またただの旅客船乗り場としての機能だけでなく、飲食店や商業施設などを併設もしくは近隣に設置しウォーターフロント開発とする場合もある。
- ふ頭の配置
- 突堤式
- 平行式
- 堀込式
航空
自動車・鉄道・船舶と比較して航空機は最も高速で移動でき、空を飛ぶため地形の制約を受けることがない。一方で大量輸送には向かず、空港建設費、騒音などの公害、気象の影響も大きい。
このため旅客では長距離移動に適しており、貨物では電子部品や精密機器といった小型で付加価値の高い物品、あるいは、緊急性の高い医薬品などの輸送に使われることが多い。
空港
旅客機・貨物機等の民間航空機の離着陸に用いる飛行場内の施設。
空港の立地
- 地上用地:滑走路をはじめ広大な土地が必要になるため、海上の埋立地や山を切り開いて用地を確保する場合もある。
- 制限表面:空港はその周辺に航空機が安全に離着陸するための空間を確保しなければならず、そこには山やビルなどの障害物があってはならない。
- 気象:滑走路の向きとその場所での主たる風向きが違う場合などは、飛行機は常に横風にさらされ離着陸が困難になる場合もある。
- 市街地との距離:市街地からのアクセスが悪すぎると空港として利用しづらいが、市街地に近すぎる場合は騒音などの問題が発生する。
空港の施設
滑走路
滑走路の長さ | 滑走路は、滑走を始めた地点から浮上して高度50フィートに達した瞬間の直下の点まで必要になる。プロペラ機で1000m、ジェット機で1,500m、ワイドボディ機で2000~2500mが最低必要である。大規模な国際空港では余裕をもたせるため、3,000〜4,000mを確保するのが標準的。 | |
滑走路の向き | 飛行機は離陸時は滑走距離が短く済み、着陸時も速度を抑えられるため、向かい風で離着陸するのが理想的。日本では夏に南風、冬に北風が吹く日が多いため、南北方向に滑走路を設置する空港が多い。 | |
ランウェイナンバー | 滑走路にはその滑走路がどの方角を向いているかを表すランウェイナンバーが記されている。真北を360度とし、時計回りに測った角度の下1桁を切り捨てた01から36までの数字で表される。 | |
並行滑走路 | 運航回数の多い空港では、2本の滑走路を並行に配置し空港の能力向上を図る。長い2本の滑走路が並行している空港では、片方の滑走路を離陸専用、もう片方を着陸専用と分離し、安全性の高い運用が可能となる。 | |
複数の滑走路の配置 | オープンパラレル | 長い2本の滑走路が並行して両滑走路間に十分な距離がとられている形態。滑走路間の干渉が少なく、並行滑走路への同時進入・出発を行うといった効率的な運用が可能である。 |
クロースパラレル | 長い2本の滑走路が並行しているが、両滑走路間の距離が短く、並行滑走路への同時進入・出発は原則として不可能な形態。同時離着陸はできないが空港の敷地が狭くても2本目の滑走路を設けることが可能で、一方の滑走路で着陸を行うと同時に、もう一方の滑走路で待機するといった運用が可能。 | |
横風用滑走路 | 運航回数の特に多い空港では、横風での離着陸の安定を期するため、主要な滑走路とは別に向きを変えた滑走路を設けている。 |
誘導路
平行誘導路 | 滑走路全長にわたって平行に設けられた誘導路。ターミナルなどから離陸のため滑走路端部への移動や、着陸後のターミナルへの移動を行う。小規模な飛行場では備えていないことも多い。 |
取付誘導路 | 離陸前の航空機が滑走路に入る、あるいは着陸後の航空機が滑走路から離脱するために、滑走路と平行誘導路(平行誘導路がない空港の場合はエプロン)を接続するための誘導路 |
高速脱出誘導路 | 取付誘導路は通常、滑走路に対して直交するように設けられるが、着陸後の航空機がより高速で平行誘導路に脱出できるように滑走路に対して斜めに取り付けられているもの |
飛行場灯火・レーダー
- 進入灯
- レーダー
- 航空灯火
- 着陸誘導装置
- 気象観測装置
エプロン
地上で航空機を留め置かれる場所をエプロンという。さらにエプロンの中でも航空機を停止させる場所をスポットという。
- スポットで活動する特殊車両
- トーイングカー
- パッセンジャーステップ
- ハイリフトローダー
- ベルトローダー
- トーイングトラクター
- フードローダー
- マーシャリングカー
- ラバトリートラック
- ウォータートラック
- トラッシュカー
- 電源車
- 給油車
- デアイシングカー
- フォローミーカー
- ランプバス
- 消防車
管制塔・航空管制
空港とその周囲9kmには管制圏が設けられ、この中では航空機は航空管制官の指示に従わなければならない。通常、管制塔は空港・飛行場の見通しの良い場所に設置され、空港・飛行場の主要施設(滑走路・誘導路・エプロンなど)の全景を目視確認できる高さになっている。管制塔の上部には管制室があり、航空管制官が航空交通管制を行っている。
- 航空管制の種類
飛行場管制 | 主に滑走路を監視し、滑走路に進入する航空機に対して離陸・着陸・横断などの許可を与える。 |
地上管制 | 主に誘導路・エプロンを監視し、航空機の地上での移動などの許可を与える。 |
ターミナルレーダー管制 | 空港から半径9kmの管制圏の外側には半径100km程度(空港によって異なる)の進入管制区が設けられている。この範囲をレーダーを使用して管制を行う。レーダーを使用するため必ずしも空港にある必要はなく、複数の空港を管轄する広域ターミナルレーダー管制を行う場合もある。 |
空港ターミナル
旅客が飛行機に乗降する際に必要な手続や待ち合わせを行う場所。
ピア方式 | 待合室やゲートなどのあるターミナル本館から、桟橋(ピア)のような細長い建物がエプロンに突き出し、その両側に飛行機のつくスポットを確保するもの方式。ピア方式は多くの飛行機をとめることができる上にデザインもシンプルとなるため世界の多くの空港が採用しているが、旅客はカウンターから搭乗口まで延々歩かされることになる。 |
サテライト・ターミナル方式 | ターミナル本体から離れた建物(サテライト)がエプロンの中にあり、飛行機はこのサテライトの全方向にとめることができる方式。メイン・ターミナルからサテライトまでの間に地下トンネルなどを作り、旅客はその中を移動する。 |
そのほかの空港の設備
- 格納庫
- 貨物ターミナル
- 機内食工場
- 訓練所
- 燃料施設
- 緑地帯
- 駐車場
- 鉄道駅・バスタクシー乗り場
新交通システム
- AGT(自動案内軌条式旅客輸送システム)
- モノレール
- 路面電車、ライトレール
交通需要マネジメント(TDM)
交通需要マネジメントとは、 自動車の効率的利用や公共交通の利用促進など、様々な交通上の行動の変更を促し、発生する交通量を抑えたり分散させたりするなど「交通需要の調整」を行うことにより、道路の混雑を緩和していく取組み。
交通問題の解決のために、従来はより大きな道路を整備するなど交通の供給側からの対応がされてきたが、交通の需要に対し供給が追い付かないのが現状であり、もしすべての需要を満たそうとすると町中を道路にしなければならない。このため「自動車交通の需要を減らす」という発想が生まれたもの。
手段の変更 | 鉄道など大量公共交通機関の利用を促進し、自動車利用からのシフトを促す。 | パーク&ライド、パーク&バスライド、公共交通手段の活用、自転車利用の環境整備 |
時間帯の変更 | 朝夕などピーク時間帯の交通をピーク時間外に分散させる。 | 時差出勤、フレックスタイム |
経路の変更 | 混雑する道路の交通を分散させる。 | カーナビによる渋滞情報、駐車場情報の提供 |
自動車の効率的利用 | 乗用車等の乗車率、貨物車の積載率を高める | 相乗り、カーシェアリング、共同輸配送 |
発生源の調整 | 自動車交通の発生量を調整、抑制する。 | 在宅勤務、職住近接、ロードプライシング、ナンバー規制、炭素税 |
公共交通志向型開発(TOD)
自動車に依存せず、公共交通に基礎を置いた都市づくりを実現するための都市開発のこと。公共交通機関の重視、公共交通機関から歩いて行ける範囲内に住宅・商業地・ オフィス・公園・公共施設を複合的に配置するなど、積極的にニューアーバニズム(コンパクトシティ)をすすめていくような都市開発を指す。
鉄道をはじめとする公共交通を重視しながら都市整備を進めてきた日本は、TOD先進国のひとつとみなされている。しかし国内でも地方都市はいまだに車社会であり、また海外では中国・東南アジア・インド・中東・ロシア・南米などの各都市が慢性的な交通渋滞に悩まされていることからTODが注目されている。
- 最終更新:2017-10-09 20:31:09